夷月が二人に連れ去られるのを僕は呆然と見送っていた。
そんな僕の左腕にちまりちゃんが抱きついてきた。
「白兎く〜ん。」
そのちまりちゃんの声を聞いたのか、玲亜が厨房側から顔を出してこちらを見た瞬間、顔色を変えて、空いている右腕に抱きついてきた。
「白兎ぉ〜。」
「ちょっと二人ともどうしたの?」
「ちまり、離れなさいよ。」
「嫌っ、玲亜こそ、後から来たのだからゆずってよ。」
「嫌よ。」
「ねぇ、二人ともお願いだから落ち着いて。ねっ。」
「白兎は黙っていて。」
「白兎君は黙っていてね。」
「うっ。」
僕が思わず口ごもっていると、二人は両腕をそれぞれの方に引っ張ってきた。
「痛っ、二人とも痛いよ。」
二人は僕の言葉を全く無視して、お互いに視線を絡ませている。
「白兎君。」
「白兎。」
二人は同時に声を上げた。
「TakeOutだよ!!」
「TakeOutよ!!」